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『倉林 敏のヒットCMの予感』 – 気になったCM Vol.3


『倉林 敏のヒットCMの予感』では、倉林 敏による独自の評価軸により、気になったCMや業界の動向などを分析・解説していきます。普段何気なく見ているCMを新たな視点でするどく捉えます。

 (1)モイスト・ダイアン「香るバブル」篇



http://www.moist-diane.jp/

不景気が続くこの暗い世の中に、久々に艶やかで華やかな世界を描き切ったこのCMは注目に値する。

花々に囲まれたバスタブに幸せそうで満足げな美しい女性が身を沈めている。花弁で体を隠しているが、見えそうで見えない微妙な色気。そこに「香るバブル誕生」のキャッチとナレーション。バスタブの中で、芳醇な香りに包まれた幸せ感。

このゴージャスでリッチ世界、画面全体からまるで、バブル時代に戻ったようなトーン&マナーを感じる。
 「新香したボディソープ」というキャッチも良い。

モデルは、ブラジルで日系三世として生まれた人気モデルKelly(ケリー)。このケリーの生き生きとした気持ち良さそうな表情も実にすばらしい。

このCMは15秒だが、およそその短さを感じさせずCM自体の存在感にあふれている。

これは、制作コンセプトの絞り込みと、そこにすべての演出要素を凝縮させた結果の表れであろう。 
そして全体に理屈ではないクリエーターの感性が結晶している久々のヒットといえる仕上がりとなっている。

そのせいでもないであろうが、肝心の商品プレゼンテーションが、秒数の問題や見せ方からして若干弱い点が、残念といえば残念である。

 

(2)サントリー セサミンEX「からだは嘘をつかない」篇

 

 

 

 

 

 

 

 

http://www.suntory-kenko.com/contents/brands/sesamin/

団塊世代シニアをターゲットに絞り込んだ、シニア向けCM。
CMは、男女の裸の背中の後ろ姿から始まる。
スタートとともに「60代、からだは嘘をつかない」というナレーションとキャッチ。そして柔軟体操をしているシーンに「美容でも運動でも若い時はすぐ答えがでたのに・・・」とターゲットの気にしている点をずばりつくナレーションがかぶり、「そんな体に新登場セサミンEX・・・」と商品を紹介。最後は「今の体をポジティブ・サイクルへ」で終わる。

このCMは、団塊世代のターゲットを意識した内容に富んでいる。
まずオープニングの男女の背中、団塊世代といえば、年齢や体力に比べ、気持ちが若いところが特徴、そんな彼らに老化した本当の素肌を見せるのはマイナスである。そのため、日ごろ見慣れていない若々しい後ろ姿を見せることで、自分自身の若さイメージの喚起とセサミンの効用を訴えている。
またナレーションも、団塊世代の悩みをダイレクトについている。

この内容は、本品が「健康食品」のため、商品の効能効果を謳えないことで、CMは団塊世代のニーズにせまるところを強調せざるを得ない。従って、最後の「ポジティブ・サイクル」という言葉は、なかなか含みのある表現となっている。
しかし、良く考えると 「ポジティブ・サイクル」って何?
何となく判るが、具体的には判らない。最後はイメージCMになってしまう。

「健康食品」というジャンルの商品の効能効果の限界であり、ともするといかがわしさが漂ってしまうのだが、このCMはその辺を見事に処理できている。

(3)東京ガスCM『家族のはなし・かっこわるい父親』篇 (60秒)

http://www.tokyo-gas.co.jp/


娘をもつ世のお父さんたちが涙を流して喜んだCM。

このCMは30秒篇はちょっと判りづらいが、60秒篇をみれば、ストーリィが完璧に判り、お父さんたちは感動する。

ストーリィは、バンドのボーカルをしている高校生の娘、まず彼女の歌っている姿から始まるが、内容は「うちの父さん、疲れていてだらしない、かっこ悪い存在」と歌っている。
その彼女がある日、お父さんの仕事場風景を盗み見る。そこではお父さんは部下とともにお客さんにペコペコ頭を下げて謝っているかっこ悪い姿。次のシーンでは部下に「お前も守るものが出来れば判るよ」と言っているお父さん。
そして家では、床暖房の効いた床でだらしなく眠る父、娘が通った時にあわって飛び起き「ごめんな、かっこ悪い父親で」これに対し「お父さん、かっこいいよ」と若干突き放したように(でも心の中では父親を認めている)言う娘。父親は安心し、そして画面全体が暖かそうな色に変わり、「部屋全体を暖かく、ガスの床暖房がスマート」と続く。

仕事で疲れ、娘からも疎んじられており、そして景気が悪く、大きな顔をして家に帰れない父親。おそらくこれが現代の多くの父親の姿であり、家でも自分の居場所が定まらず、ソファー前の床でうたたねするしかない父親像は多くの共感を呼ぶ。マークXの自信満々の一流企業の部長(佐藤浩一)とは全く正反対。

それが娘から認められたことで、床暖房がとても気持ち良い場所に変わる。床暖房の良さが心の底から伝わるCMである。
家の購入世代あるいは改築世代のこの年頃の父親にあっては、床暖房を強く動機づけできるCMで、世の父親像への切り込み方が見事である。

しかし、このような住宅設備に関しては、妻の意見が重視されるのが常であり、ここのところは一体どう考えているのだろうか?
さらに残念なのは、30秒CMでこのストーリィが伝えきれていない点であり、30秒CMを中心に制作すべきであったと思う。

 

倉林 敏
ITコンサルタント、ビジネスコンサルタント、マルチメディア施設プロデューサー、 WEBサイト開発コーディネーター等々様々な活動に関わる。著書に『ビジネスモデル特許で憶万長者になる法』、『超訳IT用語事典』、『IT革命がわかる30冊』、『英語サイトなんか怖くない』、『ケータイ・マー ケティング革命』その他講演・座談会等多数。
http://www.kurabayashibin.com/

 


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