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『倉林 敏のヒットCMの予感』 – 業界動向 Vol.3


『倉林 敏のヒットCMの予感』は、倉林 敏による独自の評価軸により、気になったCMを新たな視点でするどく捉えます。 今回は化粧品業界のシャンプーに注目。(1)花王エッセンシャル、(2)ユニリーバLux、(3)P&Gハーバルエッセンス、(4)資生堂ツバキのCMを比べます。

業界動向 Vol.3
化粧品業界シャンプー篇
今回は化粧品業界のシャンプーに注目した。髪は女性の命、それは昔も今も変わらないようだ。髪を美しくする各社のCMを見てみよう。 

(1)花王エッセンシャル「手ぐしだけでまとまる篇」


http://www.kao.co.jp/essential/

このCMのつくりは、かなりえげつない。それは女性の髪に対する繊細な神経に、ある種どぎつい恐怖心を煽り、その解決として商品を薦めるという構造となっていることだ。

恐怖心の煽り方は、髪の毛先のアップ。毛先がかなり傷んでいるようなカットだが、これが何か解剖図のように見えてグロテスクだ。
そしてそこにナレーションとキャッチで「うるおいや成分がだだ漏れ」と流れる。しかも「だだ漏れ」はかなり大きな文字。この表現はおよそ化粧品の世界では使われない言葉である。これを見た消費者はゾッとするだろう。

そして、ナレーションと商品カットで、「エッセンシャルの新キューティクルケア処方がこのだだ漏れを防いで補修する。」と入る。
効能効果をここまで言って良いのだろうかという疑問も残るCMである。

タレントはこのエッセンシャルのCMに13年振りに出演するという永作博美、そしAKB48の大島優子だ。この美しい二人と、「だだ漏れ」とのギャップが強烈である。

尚、このCMシリーズはこの「手ぐしだけでまとまる篇」の他「まとめ髪もおしゃれ篇」、「集中補修ヘアパック篇(タレント 佐々木希)」となっている。

(2)ユニリーバ LUXビューティリファイン 大人のラックス誕生篇

http://www.lux.co.jp/hair_care/beauty_refine/index.html

LUXのCMは伝統的にハリウッドの女優を使う。今回も「セックス・アンド・ザ・シティ」でエミー賞、ゴールデン・グローブ賞それぞれの最優秀助演女優賞にノミネートされたクリスティン・デイヴィスを起用。

CMの表現コンセプトは魔法。まるでハリーポッターの世界のような雰囲気。クリスティン・デイヴィスが美しい魔女風コスチュームで登場、そこに宝石のような魔法の薬がキラキラと輝き、LUXの成分である、「コエンザイムQ10」、「コラーゲン」、「スクワラン」が紹介される。
そしてテロップとナレーションで、「大人のラックス、ビューティリファイン誕生。根元のハリ、うねり、パサつきをケア。大人髪はもっと自由になれる、あなたは解き放たれる」と効能効果を説明し、「大人髪」という言葉で女性の髪に対する心理をくすぐる。

花王が恐怖を植え付けたのに対し、こちらは、ラックスを使っていればトラブルから開放され、より美しくなるという語り口。
魔法というテーマで夢を誘いながら効能効果をうたう。
北風と太陽の比較で言えば、花王は北風、Luxは太陽ということになろうか?

(3)P&G ハーバルエッセンス ジェシカ&マツコ篇

https://www.happy-yokan.com/

生まれ変わったハーバルはツバキオイルなど8種の天然由来成分配合、「ずーっと続くなめらかさ」というテロップとともに、道端ジェシカの美しい黒髪がたなびく・・・とここまでは見事なイメージCM。
すると画面はテレビのCMになり、このCMを見ているという想定でマツコデラックスが登場する。そして、「私もこのハーバルでハッピーになるわよ、今度はみているあなたの番」と、誰でも、このハーバルエッセンスで美しい髪になると訴えているイメージCM。

「ツバキオイルを始めとした8種の天然由来成分」と成分を説明しているが、これって一体何のことか良く判らない。
花王、LUXと比べると、これは効能効果を言っているようでいて、何も言っていないに等しい。すなわち、ジェシカの美しさを借りたイメージCMである。
これでイメージCMとしては、まあインパクトは弱いかもしれないが、成立している。

そこにまた何故マツコデラックスが登場しなければならないか?
勘ぐれば、訴える効能効果成分も弱く、単なるイメージCMでも弱いため、インパクトを強めるためにマツコデラックスを使った?
その結果、あまりこれといった特徴がないという弱みを強調してしまった。逆効果ではないだろうか?

(4)資生堂 TSUBAKI 椿 Love Yuri Ebihara

http://www.shiseido.co.jp/tsubaki/index.html

これぞトップ化粧品メーカーのCM、伝統的な見事なつくり、まさに王者の貫録といえるような作品である。

タレントは愛称えびちゃんの蝦原友里。
CMはキャッチとナレーションで「世界にひとつの輝き」「TSUBSAKI」、そしてまずカップルのアップ、キスしそうな距離、これは女性にとって髪を意識する瞬間だ。
ヨーロッパ調の豪邸、エントランスの階段にいる二人。
えびちゃんのヘアアップのシーンにナレーションとキャッチで「芯までとどくうるおい」で「はずむ、まとまる、艶髪へ」。

 これが美しい髪の定義なのだろうか。「はずむ」髪なのに「まとまる」髪、そして「艶」のある髪、この3つの要素がひとつにまとまることが美しい髪の条件ということであろう。そしてその裏には椿があるといいたいのではないか?
その昔、アサヒビールが「きれがあるのにこくがある」、すなわちビールの「きれ」と「こく」は互いに相反し同居するのが難しい、しかしアサヒビールはこれを実現した。これがアサヒビールがブレイクしたコンセプトだった。
この「はずむ、まとまる、艶髪へ」というキャッチはまさにこの「きれ、こく」を彷彿とさせる。

CM次に、階段のところでやさしく髪を愛撫される蝦原友里、そしてナレーションとテロップで「厳選、椿オイル配合の赤のTSUBAKI」と入り商品カット。
最後にカメラ目線が色っぽいえびちゃんのアップとなり、テロップでYou’re Beautifulで終わる。

ひとつひとつのシーン、すなわち、えびちゃんの表情や髪の毛のたなびき方などと、ナレーションやテロップがいやみなほどに見事に計算され、まさに教科書風に作られているCMであるが、そこを感じさせない感動を呼ぶトーン&マナーは、時に色っぽく、時にキュートにといった蝦原友里の演技力によるところが大きいのだろう。

倉林 敏
ITコンサルタント、ビジネスコンサルタント、マルチメディア施設プロデューサー、 WEBサイト開発コーディネーター等々様々な活動に関わる。著書に『ビジネスモデル特許で憶万長者になる法』、『超訳IT用語事典』、『IT革命がわかる30冊』、『英語サイトなんか怖くない』、『ケータイ・マー ケティング革命』その他講演・座談会等多数。
http://www.kurabayashibin.com/

 


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